2014年8月28日木曜日

遠征タックルについての一考(カナダ旅行を通して)

8月ももう終わりですね。
皆さん、夏の釣りはいかがでしたでしょうか?
ホームウォーターを集中して釣った方もいらっしゃるでしょうし、新規釣り場の開拓に時間を費やした方もいるでしょう。
また憧れのフィールドに満を持して遠征した方もいらっしゃるでしょうか。


僕自身のことを言うと、7年ぶりにカナダへ行ってきました。
といっても今回は家族旅行なので、残念ながら釣りは二の次。
そうは言ってもフライロッドのない旅なんて考えられませんよね。まして行き先がカナダなんですから!(笑)

そこで今回は僕が「家族旅行」の合間に釣りを楽しむために、どんな道具を持って、また実際にどんな魚を釣ったかを紹介してみたいと思います。

【タックル】
ロッドはやはり収納性を最大限考慮してパックロッドとなります。
僕が使っているのは9フィートのレングスで7ピースのパックロッドです。
7ピースだとケースに入れた収納サイズが50cmに満たないので、スーツケースやバックパックに余裕を持ってパッキングすることができます。
上手くすれば、同行する家族に釣竿の存在を隠すことさえ可能です!(笑)
収納性の問題は、実際のパッキング以外にも案外重要で、ロッドが存在を主張しすぎると露骨に家族の反感を買う恐れがありますから、ご注意を!

冗談はさておき、最近は4ピースのロッドが主流となっていますが、旅行時のパッキングと言う意味ではパックサイズがやや大きく感じることもあります。
航空会社によっては機内持ち込みが制限される場合があるので(ヨーロッパでの事ですが、現地空港で釣竿はサイズに関わらず機内持込不可と言われたことがあります)、僕自身は預ける大型荷物の中に上手くパッキングできるサイズを選んでいます。

ロッド以外は全てショルダーバッグ一つに納まります。
写真に写っていないドライスプレーや偏光グラスはバッグの中。
右下のナイロンメッシュバッグの中身はティペット(スプール)です。

さて、パックサイズも重要ですが、一番の問題はラインウェイトを何番にするかです。
釣る魚やフィールドが予め決まっている場合は問題ありませんね。それに適したものを用意すれば良い。
ただし、どこで釣るか、何の魚を釣るかが未定の場合、最大公約数的にユーティリティなタックルを選ぶ必要があります。
具体的には渓流から湖まで一通りこなせるタックル、つまり#16フック程度のドライフライから#2フックのストリーマーまでキャスティングできればトラウトを中心に多くの状況がカバーできるということになります。
そこで6番ウェイトのタックルを持っていくことにしました。
5番ウェイトでも良いのですが、湖で風が吹くことも考えるとやはり6番の方が安心感があります。
つまり逆説的にですが、「遠征」や「旅」と言った限られた状況で多くのシチュエーションを釣るための道具とは、ビギナーが最初のロッドを選ぶという行為に似ていると言うことではないでしょうか。

「渓流の鱒釣り」や「湖のバス釣り」といったように対象魚とフィールドが明確ならそれ専用のタックルを選ぶべきですが、トラウトからバスまで一つのタックルで間に合わせようとすると、ビギナーにお勧めする中庸なタックルこそベターな選択となるのではないでしょうか。

ちなみに今回用意したラインはフローティングのみですが、シンキングタイプのポリリーダーも準備しました。
湖でストリーマーを使うときは、シンキングリーダーを併用することで、水中への馴染みが良くなります。
深く沈めることは現実的ではありませんが、限られたタックルの中では一定の効果が期待できます。

もちろんリールのスペアスプールにシンキングラインを巻いて用意したり、フローティングからエキストラシンキングまでのマルチティップラインを持って行くと言う選択肢もあるのですが、僕自身は普段日本で湖の釣りをするときでもフローティングラインしか使っていないので、旅先で慣れないことはしたくないということが正直な気持ちです。
複数のラインを持ち歩くこと、使い分けることに慣れていらっしゃる方はそのようにすれば良いのだと思います。

釣りの前に「絶対に」忘れてはいけないのはライセンスの購入です。
僕が購入したのはオンタリオ州全域で8日間有効なライセンスで
合計39.65カナダドルでした。
ライセンスの種類はカナダ在住か否か、また釣る(キープ)ことが
できる種類や期間に応じて幾つかの種類があるので、自分の目的
に合わせて購入することが必要です。
ちなみにライセンスを購入せずに釣りをして、もしオフィサー(監視員)
に指摘された場合、罰金等の処罰はもちろんですが、後日現地の
裁判所への出廷義務が課せられます。
あくまでもレクレーションとして楽しむために釣りをするわけですから、
旅行中の無用のトラブルを避けるためにも必ず現地のルールに
従わなければなりません。
現地のローカルな釣具店やバスプロショップ、またホームセンター
(カナディアンタイヤ)などで購入することが可能です。

*こちらを参考にしてください。「2014 Ontario Fishing Regulations Summary

【フライ】
どんなフライを持っていくか?
これはかなり悩ましい問題です。今回僕が想定したのは渓流のトラウトと湖でのブラックバスやパンフィッシュ(クラッピーやパーチなど)です。
そこで3つのフライボックスにそれぞれ①ドライ&ウェットフライ、②ストリーマー、③ポッパーやフォームフライ&大型テレストリアル類を持参しました。
具体的なフライパターンはいつも使っているものと全く一緒です。
自分が普段から自信を持っているものをコンパクトにまとめただけです。
全体としての荷物の量は制限されているわけですから、あれもこれもと悩むより思い切って諦めることも重要です。

釣りをしていてどうしても必要なものが出てきたら、現地のショップで完成品を買い求めるのも手ではないでしょうか。
ライセンスを購入する時に、店の人にお勧めのフライパターンを聞いてお土産のつもりで買い求めるのも楽しい思い出になります。

□ □ □

以上、今回僕が持参したタックルについての紹介でしたが、次にいよいよ実際の釣りについてです。

【川の鱒釣り】
現地在住の親友に案内してもらって、とある小河川でトラウトを釣りました。
彼の家から車で15分ほどの、構えのないほんの近所の釣りと言った感じです。

この川は春のスプリング・ラン Spring run (産卵に伴う遡上)にはオンタリオ湖から巨大鱒が大群で上ってくると言います。
今は残念ながら大型の魚は全て湖へ下った後で、川に残っているのは手の平サイズのみでした。
最大で22~23cm(9インチ程度)とカナダにしては小振りな魚ばかりですが、瀬を中心にドライフライを流すと面白いように釣ることができました。
レインボートラウトを中心にブルックトラウト、ブラウントラウトと、いずれもこの川で産まれたワイルド・トラウトたちです。

蛇足ですが、その地域に元々生息していた種を「ネイティブ」、後から移入されたものが定着し再生産するようになったものを「ワイルド」と呼びます。
この川のトラウトが果たしてネイティブかどうかは分かりませんが、素晴らしいワイルドであることは確かです。

日本の渓流ほど落差はありません。


今回、ウェーダーは持参しなかったのですが、
現地の釣具店で最も安いものを購入しました。
川釣りの予定があるなら最低限ヒップウェーダー
は必要かもしれませんね。

今回はほとんど#14サイズのスタンダードなドライフライだけで釣りました。





ブルックトラウト


全体に白っぽい魚体ですが、恐らくブラウントラウトの幼魚だと思います。
フライはライトケイヒルだったでしょうか。


この魚の名前、何だか分かりますか?
カワムツに似ていますが、クリークチャブ Creek Chub と言う魚です。
アメリカンルアーが好きな方は、「これがクリークチャブか!」
と感慨深いのではないでしょうか。


【湖のバス&パンフィッシュ】
旅行の日程は全体で10日間だったのですが、鱒釣りをした翌々日、今度は湖へ釣りに出かけました。
主にボートから釣りましたが、ボートを降りて桟橋からの釣りでもブルーギルが良く釣れました。



小振りなスモールマウスバスですが、フォームホッパーに抜群の反応!

ガーグラー・ミジェットはやはりカナダでもブルーギルに対して効果的でした。

ボートから湖岸沿いのカケアガリを狙うとクラッピーが釣れました。
フライは紫のゾンカーです。


ポッパーでラージマウスバス。


ロックバス

ブルーギル


ウォールアイ

まだまだベイビーサイズながら、鈍く光るガラス玉の様な目が怪魚風です。


以上、家族旅行のついでに隙を見てサッと釣りに出かけてしまう、名付けて「ステルス・フィッシング」!のレポートでした(笑)。
釣りのための遠征ではないゆえの、何を釣るかがはっきりと決まっていない非常に曖昧な中でのタックル選定。
そしてそのタックルでの実際のフライフィッシング。
やろうと思えば案外幅広くやれるものです。
これもフライフィッシングの懐の広さですネ。

□ □ □

和食の料理人でもある親友がクラッピーをスチームしてくれました。
クラッピーは北米を代表するパンフィッシュで、パーチと人気を二分
しています。
癖のない淡白な白身が好みならクラッピー、甘みのある身が好み
ならパーチでしょうか。

最後に、もうちょっと今回の旅行そのものについて補足しておきます。
カナダのオンタリオ州の州都であり、またカナダ随一の都市がトロントです。
そのトロント郊外の街に僕の親友が住んでいます。
今回はその彼の巨大な家に10日間ほど家族で居候させてもらいました。
つまり友達の家に遊びに行ってそのまま泊めてもらった感じです(笑)。
したがって観光もせず、テレビも見ず、新聞も読まず、パソコンも開かず、彼が仕事の時は庭で本を読みつつリスが忍び込んでくるのを眺め、子供を公園で遊ばせ、イチゴを摘みに出かけました。
そして彼が休みの日に近所の川へ鱒釣りに出かけたり、車で2時間ほどの湖へバスやクラッピーを釣りに出かけました。
自分で言うのもなんですが、全く力みのないリラックスした良いバケーションでした。

犬が苦手だったウチの娘もすっかり愛犬家風情になりました(笑)。

是非皆様も、次回の家族旅行の際はこっそりとフライロッドを隠し持って行って下さい!(笑)
Keep casting & Tight line!


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