2014年6月7日土曜日

4-01. フライロッドをもっと詳しく

すでに「1.道具入門編」の中で説明したとおり、フライフィッシングのタックルシステムはフライラインの重さを基準に決められています。
したがって自分が釣りをするフィールド及び魚に適したフライラインを選択し、そのラインウェイトに適合するロッドを選ぶ必要があります。
個人の好みやフィールド特有の選び方もあるでしょうが、おおよその傾向としては渓流では3~5番ウェイト河川本流や湖では5~8番ウェイト、海でボートからシーバス(スズキ)を狙うのであれば8番ウェイト以上となります。

秋の本栖湖でカメムシパターンの釣りをしたときのタックル。
森が迫るガレ場のカケアガリで、風にあおられて湖面に落ちる
カメムシにライズするニジマスを狙います。
この日のロッドはグラスの8.5フィート。ラインはWF-8Fでした。

【フライロッドの長さは?】

・渓流の場合
渓流では川幅そのものが狭くキャスティングの距離も短い上に、身の回りの木の枝や岩などがキャスティングのロッドワークの障害となることも多いため、長いロッドは使いにくくなることが多いです。
そこで一般的には7~8フィートの長さが適当と言えるでしょう。
もちろん開けた川相であれば長めのロッド、逆に渓流を遡行し源流域でイワナを狙う場合やボサが生い茂る小河川などでは7フィート未満の極端に短いロッドが適している場合もあります。

しかし近年のトレンドは独特の発展をしていると言えます。
そのトレンドを一言で言うと「ロングティペット・リーダー(ロングリーダーとも呼ぶ)を用いたナチュラルドリフト」ということになりますが、これはロングロッド、ライトライン、ロングティペット・リーダーと一体的なシステムを構成しています。
ドラグを回避してナチュラルドリフトさせる時間を長く取るためにティペット部分を長くしてわざとティペットがコイル状にたるんだ状態でプレゼンテーションさせます。
これは、そのたるんだティペットが延びきるまでの時間はラインやリーダーが流れに引っ張られてもドラグがかからないと言うわけです。
実際、ロングティペット・リーダーを愛用する人は16フィート以上、場合によっては20フィート(約6メートル)を越える全長のリーダーを操っています。
もちろんフライラインのラインウェイトも軽い方が直径が細くできているので、ラインが受ける流れの抵抗も少なくなります。
また、細く長いリーダーを操作するためには、当然しなやかで長いロッドが必要になります。
3番ウェイトで8.5~9フィート程度の長さを持ち、一般的な渓流用(ドライフライ用)ロッドよりも若干胴に掛かるアクション(ミディアムファスト~ミディアムアクション)がこの釣り方をするロッドの標準スペックと言えます。
このロングティペット・リーダーを用いたシステムは、ある程度開けた渓流では有効なアプローチには違いないのですが、キャスティングや取扱にそれなりの慣れとスキル(技術)が必要なことは想像に難くないと思います。

このロングティペット・リーダーの釣りを志向するにしても、まずはしっかりとしたキャスティング技術を身に付けることが第一です。
特にビギナーの場合、いたずらにリーダーを長くするのはライントラブルのリスクを増やすだけと覚えておいて間違いはないでしょう。
まずは渓流でも9~12フィートの長さのリーダーをしっかりと操る技術が必要です。
そのためにはロングロッドも必要ありません。
結局は最初に紹介した一般的な長さのロッド(7.5~8フィート)が使いやすいということになるのではないでしょうか。
もちろん良く行く渓流が開けた川であるのなら、ロングリーダーを使わずとも長めのロッドの方が有利なことはこれまでの説明からご理解いただけるかと思います。

またウェットフライやニンフをメインで使う場合は、ドライフライを使う場合よりも長めのロッドが好まれます。

・河川の中流域(本流)や湖の場合
続いて本流や湖でフライフィッシングをする場合のロッドの長さですが、まず重要なことはロングキャストが必要となることが多いということです。
そのため遠投性能に長けた9フィート以上のロングロッドが求められます。
この時、理論的には長い方がロングキャストに向いていることになるのですが、あまり長すぎると重くなるためシングルハンドロッドでは9~10フィート程度が目安となります。
ダブルハンドであれば必要に応じて12フィート以上のロングロッドの使用も可能でしょう。
昔はダブルハンドと言うと10番ウェイト以上のサーモンロッドがメインでしたが、最近は5番ウェイト程度の一般的なトラウトフィッシング向けのダブルハンドロッドも販売されています。

短いより長い方が遠投性能が高く、当然シングルハンドロッドよりもダブルハンドロッドの方が同様の理由で遠投が利くのですが、それでは必ずしも遠くへ投げるほうが釣れるのかと言うとそうでもないのが面白いところですネ。
個人的には9フィートで6~8番ウェイトのシングルハンドロッドというのが、湖などの大場所でも使いやすいタックルだと思います。

パラボリックアクションのバンブーロッドを使いウェットフライで釣ったニジマス。

【フライロッドのアクションについて】

フライロッドの長さや素材と非常に密接に関係しているのですが、ロッドアクションにも様々なバリエーションがあります。
感覚的な要素が強いことは否定できませんが、フライロッドの曲がり方に応じて「ファストアクション Fast action」「ミディアムファストアクション Medium fast action」「ミディアムアクション Medium action」「スローアクション Slow action」などと分類されます。

「ファストアクション」とはフライロッド全体に張りがあり、ロッドの先端付近が曲がりやすくなっている調子で、最近のカーボン素材のロッドはほぼこのファストアクションです。全体の印象としては硬く張りがあるので反発力に優れ、キャスタビリティ(キャスティング性能、ロングキャスト性能)が高いといえます。

一方「スローアクション」はロッド全体が大きな弧を描くように曲がる柔らかな調子のロッドです。(「パラボリックアクション Parabolic action」とも呼びます。)
伝統的なバンブーロッド(竹竿、ケーンロッドとも呼ぶ)にはこのスローアクションが多いのですが、慣れないとキャスティングのタイミングを取るのが難しく感じるかもしれません。ただしスローアクションのロッドをうまく使いこなせるようになると、キャスティングの要であるラインコントロールがスムーズに行えるようになります。
特に先に述べたロングティペットリーダーを用いる釣りでは「ロングロッド、スローアクション」が好まれます。
もちろん使いこなすにはより多くの慣れと練習が必要であり、また飛距離を求めるキャスティングではファストアクションのロッドに分があると言えます。

ファストアクションとスローアクションの間に「ミディアムファスト」「ミディアム」また場合によっては「ミディアムスロー Medium slow action」などと呼ばれるアクションが存在します。
キャスティングのしやすさ、扱いやすさと言う面で万能・中庸ともいえるのはミディアムファストアクションで、ビギナーの最初の一本としてお勧めできるとともに、たとえベテランであっても色々なロッドを使った末に、やはりミディアムファストアクションに戻る、と言う方も少なくないようです。

ロングティペットリーダーの釣りとは別に柔らかい調子のロッドアクションが好まれる釣り方があります。
ウェットフライの釣りです。
ウェットフライを使うときは流れの中でラインコントロールをしてフライを泳がせるのですが、フライは水中にあるためにドライフライのようにその動きや魚の当たりを視覚で捕らえることが難しいと言えます。
つまり向こう合わせでフッキングすることが多いのですが、その時ファストテーパーの硬いロッドでは魚が強い違和感を感じでフライを放してしまいます。
ウェットフライフィッシングの経験がない方には意外に思われるかもしれませんが、確実にフッキングさせるためにも柔らかいロッドが向いています。

一方で「ドライフライアクション」と呼ばれるロッドアクションがあります。
ファストアクションからミディアムファストアクションのロッドのことで、これは主に渓流釣りでピンスポットへ正確なキャスティングをするためのアクションと言えます。

ソルトウォーターでは風の影響と、何と言っても飛距離が重要。
9フィート、ファストアクションの8番ウェイトタックル。

ロッドの長さにしてもアクションにしても最終的には「好み」と言えますが、ビギナーへのアドバイスとしてはやはりいきなり極端な特徴(長すぎる、短すぎる、硬すぎる、柔らかすぎる等)を持つロッドよりも定番といえる長さ・アクションで基本を学んでから次のステップへ進むことが結果的にはスキルアップの近道と言えるのではないでしょうか。
Keep casting!

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